こんにちは。
職人のたまご、奥村です。
前回、技術習得のコツとして、「押してダメなら引いてみろ」という考え方をお話しました。
今回は、この考え方を深掘りしていきます。
もくじ
動作は「一対」の関係にある
前回同様、「消しゴム」の例で考えてみます。
消しゴムで文字を消すとき。
「押す」ときに、消していますか?
「引く」ときに、消していますか?
または、その両方ですか?
そもそも、消しゴムで消すのに意識なんてしていない。
そんなあなたは、ぜひ一度、意識してみてください。
ちなみに消し方に正解はありません。
気持ちよく消すことができれば、それがあなたの正解です。
僕の消しゴムの場合
僕は、「押す」ときに消す意識があります。
では、そのとき「引く」動作はどうなっているのか。
結論として、消しゴムを引くときは、力を抜いていました。
消しゴムを押したら、惰性で元の位置に引くという感じです。
ただし、完全に引く力を抜いてしまうと、再度消しゴムを押すときに紙に圧力をうまくかけられませんでした。
したがって、僕の消す動作がうまくできる一つのポイントとして、「引く動作のときも、紙に一定の圧力をかけておくこと」が挙げられます。
つまり、「押すときも引くときも紙に圧力をかけ続けながら消す」ということです。
文字で表すのが難しすぎる…。
わかりにくいですよね…。
要するに、消しゴムを押して消そうとしても、引く動作が自然でないと上手く消せないということ。
だから、押してもなかなかうまく消すことができない人は、押すことを意識するよりも、引く動作に意識を向けるといいかもしれません。
僕の一対体験談
(写真:彫刻刀の刃をサンドペーパーに当てる様子)
彫刻刀の話をしましょう。
僕が実際に「できない」から「できる」状態になっていったお話です。
彫刻刀の刃を、高速回転するサンドペーパーで磨く作業があります。
刃の種類によっては、振り子のように左右に動かして表面を磨くことがあります。
そんなとき、僕は右から左へのスライドがうまくいかないことに気づきました。
(写真:僕は右から左への移動が苦手)
さあ、どう修正するか。
左へのスライドを意識して、慎重に行ってみることにした。
何度も何度も練習を繰り返す。
でも結局、意識してもうまくいかなかった。
そこで、先ほどの「一対の関係」に注目。
左へのスライドがうまくいかないのは、右へのスライドがうまくいっていないからかもしれない。
だから、まずは、右へのスライドがどうなっているかを意識してみよう。
(写真:左ができないのは、右に問題があるかもしれない)
「右へのスライド時の、刃の角度はどうなっている?」
「左へスライドするときの切り替えし場所がどこになっている?」
何度も何度も意識して練習し続けた結果。
どうやら右から左へと切り返す場所が良くなかったことがわかりました。
(写真:右から左への切り返しポイントが悪いことがわかった)
そこで、切り返しポイントを意識しながら、左へのスライドをやってみると…。
なんと、スムーズに左へスライドができるようになりました。
- 振り子動作で、左へのスライドがうまくいかない。
- そこで、右へのスライドを意識して練習。
- そしたら、だんだんと左へのスライドがスムーズにできるようになった。
というわけです。
これは、実話です。
嘘偽りありません。
誇張していません。
すべて真実です。
ただし、左へのスライドがうまくいくようになるまで、何万回と同じ動作を繰り返しましたけどね。
本動作と予備動作の関係
動作は「一対の関係」にある。
これと同類の表現をしてみると。
「本動作の前の予備動作がカギをにぎる」
となります。
ボールを遠くへ飛ばせない子は、投げる動作よりも振りかぶる動作を意識したほうがいいかも。
高くジャンプができない子は、跳ぶ動作よりもしゃがんで反動を使う動作を意識したほうがいいかも。
このように、動作には、「予備動作」があります。
その予備動作がうまくできていないがために、「本動作」ができない可能性があります。
したがって、技術的な壁にぶつかったとき、「一対の関係」や「予備動作」を意識してみるといいかもしれませんね。
何はともあれ。
技術や感覚を文章で表現するのは、難しすぎる。
この記事の文章は、解読が難しいかもしれません。
僕自身も書いていて、「これどういうこと?」ということが多々ありました。
なので、最低3回は読み返していただけると幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
と言いたいところですが…。
この記事を書いているときに、さらなる疑問が浮かんでしまいました。
それは。
「自分が知っている動作なら、一対の関係や予備動作のことはイメージできる。だけど、知らない動作や初めてやる動作は、そもそもどちらが本動作か予備動作がわからないじゃん」
例えば、先ほどの消しゴムの例。
僕は、「押す、引く」という動作を前後の動きとしてとらえていました。
けれど、ふと左右に動かして消してみようとしたら、どちらを意識して消しているのかがわかりませんでした。
上下動は自然にできても、左右の動きは、できていない。
だから、どちらに意識を持てばいいのかすらわからない。
これは、経験不足が影響しているかもしれない。
わかりません。
この疑問は、新しい記事に書きたいと思います。