こんにちは。
「職人のたまご」の奥村です。
前回、「とりあえず、数万回理論」と名付けて、たくさん練習をすることの大切さをお話しました。
記事:【職人のたまご日記】職人の僕が考案した「とりあえず、数万回理論」とは?
じつは…。
もっと効率よく技術を習得する方法をひらめいちゃいました。
たくさん練習するだけでなく、あることをするだけで、よりスムーズに技術を身につけられる。
今回は、そんな方法をシェアしたいと思います。
もくじ
技術をスムーズに習得するためには
完成形をイメージせよ!
(写真:切れ味鋭い彫刻刀)
職人の僕が目指すのは、「切れ味が鋭く、見た目も美しい彫刻刀」。
そのために、僕はたくさん練習しています。
しかし、彫刻刀の技術は、とても繊細。
ただやみくもに練習しても、なかなか上達しません。
技術習得で大切なのは、「完成形をイメージしながら手を動かすこと」だと思います。
例えば、体育の授業のマット運動。
初めて倒立をする子どもたちには、最初に先生が手本を見せます。
「そもそも倒立とはどんな形なのか」をしっかりと見せる。
そうすることで、子どもたちは、上手な倒立をイメージしながら練習できるのではないだろうか。
反対に、手本を見せずに、倒立をやれと言われても、「倒立ってなに?」と困惑してしまいます。
つまり、「完成形」をしっかり頭で思い浮かべることが大切なのです。
熟練職人の完成形を見て盗む
だから僕も、熟練職人の技をしっかりと見ています。
見るだけではありません。
音を聴いてみたり。
道具を触ってみたり。
切れ味を自分のものと比べてみたり。
自分がまだ習得していない技術がどんなものかを、しっかりイメージしています。
コツはあえて聞かない
ただここで注意することがあります。
「コツは聞かないこと」です。
なぜかというと、コツとは、自分の内部感覚から生まれるものだと思うからです。
コツは自分自身にしか理解できません。
なまじ人のコツを真似ようとすると、今まで自分が積み重ねてきた感覚を壊しかねません。
聞くのであれば、「コツを教えてください」ではなく、「見本を見せてください」と聞いたほうが、僕は良いと思います。
(写真:作業場は技術の宝庫)
「昔の職人は、全く教えてくれなかった」
というのを、年配の人から聞いたことがあります。
技術は見て盗むしかなかったそうです。
もしかしたら、昔の人は、コツを教える必要がないとわかっていたのかもしれませんね。
効率よく身につけるの意
(写真:黙々と作業をする職人)
技術を効率よく身につけるためには、「たくさん練習する、完成形をイメージする、たくさん練習する」の繰り返し。
「効率よく」というと、少ない回数、短時間で身につけるように思えます。
しかし技術の習得は、短時間で行えるほど簡単なものではありません。
何千、何万回と繰り返していくと、自分だけのやり方がひらめいていくもの。
何かをゼロの状態から身につけるのに、効率なんて考える暇はありません。
それよりも、完成形をイメージしながら、たくさん練習する。
そのほうが、技術習得の最短ルートになると僕は考えます。
ほじゃ、今回はこのへんで。