こんにちは。
職人のたまご、奥村です。
今回は、「いつもと違う作業をしたら、無意識のクセに気づいたお話」。
「裏磨き作業」をやってみた
(写真:裏磨きをした彫刻刀は美しい光沢を放つ)
「裏磨き」作業をやる機会がありました。
「裏磨き」とは、彫刻刀の表面を磨く作業のこと。
彫刻刀の黒染め部分を磨き、美しい光沢を出すのです。
(写真:裏磨き下面としてない面)
しっかり光沢を出すために必要な,僕の課題。
それは、彫刻刀の面をバフにまっすぐ当てることです。
(写真:高速回転するバフに対してまっすぐ彫刻刀を当てる)
いざ、作業開始。
まっすぐに当てることを意識しても、まっすぐに当たりません。
なぜか、バフに対して彫刻刀が斜めに傾いてしまうのです。
(写真:微妙に傾いているのがわかりますか?)
まっすぐに当てる意識をしているのに。
まっすぐに当てることができない。
いろいろ悩んだ末。
ようやく、ひとつの結論が浮かび上がってきました。
意識と現象の差異
自分では「まっすぐ」に意識したつもり。
けれど実際は、「傾いてしまった」という現実。
(写真:「まっすぐ」がしっかりできた状態)
なぜ、彫刻刀の面を、バフにまっすぐ当てることができなかったのか。
それは、彫刻刀を持っている右手がそもそも傾いていたから。
(写真:右手の傾きが彫刻刀の傾きになっていた事実が判明)
どれだけ「まっすぐ当てる」ことを意識しても、右手がまっすぐでなければ、できません。
今回、学んだこと
①無意識のクセが意識の邪魔をする
今回、意識していたのにできなかったのは、できない原因に気づいていなかったから。
つまり、無意識のクセが、理想の状態を作る邪魔をしていたのです。
②いつもと違うことをやると、ひょっこりクセが現れる
今回やった「裏磨き作業」と、僕が普段やっている「仕上げ作業」は違うもの。
ですが、裏磨きで発見した今回の出来事は、普段の作業にも生かせそうです。
自分が意識しているのにできない。
それは、無意識の何かが邪魔をしているかもしれないということ。
すると、スムーズに自分の課題をクリアできるかもしれません。
無意識を意識下に置く
(図:意識の中に、無意識を取り込む)
もちろん、「無意識の何かを意識する」というのは、相当難しい。
けれど、僕は「できる」と断言できます。
今回の「裏磨き」で気づけたのだから、どんな無意識のクセも明らかにできる。
もちろん、頭が熱を帯びるほど、考え抜いてこそですが。
今できないことには、何か原因がある。
その原因を見つけ出すための教訓を、今回の「裏磨き」作業で得ることができました。
それにしても、「できないことができるようになる」のは、おもしろい。
人間、やればできるもんだなと実感した出来事でした。
ほじゃ、今回はこのへんで。