この記事は、「小学校の先生向け」の内容です。
子どもに怪我をさせないために知っておきたい「彫刻刀の注意点」をまとめました。
小学校の先生が知っておきたい「子どもが彫刻刀を使う上での注意点」
子どもに怪我をさせないための4つの注意点
- 基本的な注意点
- 彫るときの注意点
- 道具の注意点
- 授業進行上の注意点
① 基本的な注意点
- 刃の部分を触らない
- 彫刻刀を持ち歩かない
- 使わない彫刻刀はケースにしまっておく
- 彫刻刀が入ったケースは、しっかり閉じて固定する
- 彫刻刀を箱に入れる際、逆に入れない
刃の部分を触らない
彫刻刀は、平刀、印刀、丸刀、三角刀など様々な形があります。
丸刀や三角刀もよく切れるので、気を付けましょう。
子どもが扱う上で気を付けたいのが、刃についた木くずや汚れを取るとき。
素手で刃を触ると、ケガのリスクが高まります。
できるだけ、布やブラシで汚れを取ることをおすすめします。
彫刻刀を持ち歩かない
彫刻刀を持ち歩いていると、周りで作業している子に刃が当たってしまうかもしれません。
席を立つときは、彫刻刀をケースの中にしまうように指導すると良いでしょう。
使わない彫刻刀はケースにしまっておく
座って作業しているときに、使っていない彫刻刀が机の上に転がっていると、何かの拍子に刃が当たってしまうことも考えられます。
子どもにとっては、いちいちケースから取り出すのはめんどくさいかもしれません。
ですが、安全のために、使わない彫刻刀はできるだけケースにしまっておくことをおすすめします。
彫刻刀が入ったケースは、しっかり閉じて固定する
ケースは、しっかりフタを閉じて固定します。
持ち運ぶ際、彫刻刀がこぼれないようにするためです。
彫刻刀を箱に入れる際、逆に入れない
箱の中の彫刻刀が上下逆だったり、バラバラになっていると、次に使うときに取り出しが不便です。
授業の終わりに、しっかり閉まっているかを確認させると良いでしょう。
② 彫るときの注意点
- 正しい持ち方で持つ
- それぞれの刃の用途を知る
- 常に持ち方と使い方に気を付ける
- 力任せに彫らない
- 刃を自分の体に向けて彫らない
正しい持ち方で持つ
先生が彫刻刀の正しい持ち方を示範することをおすすめします。
その際、わかりやすい言葉がけで子どもがイメージしやすいようにしましょう。
彫刻刀を持っているほうの手だけでなく、反対の手はどうすべきかも指導しましょう。
手を置く位置が刃よりも前にあると、ケガをするリスクが高まります。
安全のために、導入部分でしっかりと正しい持ち方を身につけさせましょう。
それぞれの刃の用途を知る
彫刻刀の刃は、「平刀、印刀、三角刀、丸刀」というように形が異なります。
そして、それぞれの刃には、それぞれの用途があります。
※刃の形別の詳しい使い方は、「彫刻刀の使い方 完全ガイド」をご覧ください。
特に、印刀の扱いには注意が必要です。
先端が尖っているので、ケガをしやすい刃です。
正しい用途で使うように指導しましょう。
常に持ち方と使い方に気を付ける
子どもは作業に夢中になると、本来の持ち方や使い方から逸脱してしまうことがあります。
先生は授業中、子どもたちが正しく彫刻刀を扱えているかを常にチェックをすることをおすすめします。
力任せに彫らない
子どもは、うまく彫れないと力で彫ろうとします。
すると、木版から彫刻刀が滑り、手を切ってしまう可能性も考えられます。
彫る際は、力はそこまで必要としません。
グッと力を入れるのではなく、ゆっくりと丁寧に彫らせると良いでしょう。
切れ味の悪い彫刻刀を使っていると、力任せになりがちです。
学校の備品やおさがりの彫刻刀は、子どもに使わせる前に、切れ味があるかどうかを確認しておきましょう。
砥石で研ぐことで、切れ味は復活します。
ですが、労力を考えた場合、新品の彫刻刀を用意したほうが良いかと思われます。
刃を自分の体に向けて彫らない
彫っている最中に、刃が自分の方へ向かないように気を付けましょう。
常に前方に刃が動くように指導すると良いかと思います。
③ 道具の注意点
- 切れ味が悪い彫刻刀は使わない
- 左利きの子は左利き用の彫刻刀を使う
- 滑り止めシートを使う
- 人の彫刻刀は使わない
切れ味の悪い彫刻刀は使わない
切れ味の悪い彫刻刀は、彫っているときに、引っ掛かりが生じます。
すると子どもは、力任せに彫ろうとしまいます。
何かの拍子に刃が木版から滑ってしまうことのないように、切れ味の良い彫刻刀を使いましょう。
スムーズに彫ることができないと、気持ちよくありません。
木版を彫る楽しさも味わうことで、より作品作りに集中することができます。
切れ味の良い彫刻刀を使うために、新品の彫刻刀を購入することをおすすめします。
左利きの子は左利き用の彫刻刀を使う
彫刻刀には、左利き用があり、印刀の向きが逆になっています。
その他の刃の形は、右利きでも左利きでも変わりありません。
左利きの子が、右利き用の印刀を使うと怪我のリスクが高まります。
彫刻刀を購入する際に、左利きの子はしっかり左利き用を選択しているかを確認してあげてください。
滑り止めシートを使う
滑り止めシート(ノンスリップシート)は、作業中に木版が動くのを防ぐ働きがあります。
彫った際に出る木くずが机の上にある状態で木版を乗せると、不安定な状態になります。
木版がズレたり動いたりしてしまうと、彫ることに集中できなくなります。
うまく彫れないと、力任せになり、ケガのリスクを高めてしまうかもしれません。
学校にシートの備品があれば良いのですが、なければ、滑り止めシート付の彫刻刀を購入することもできます。
人の彫刻刀は使わない
今まで自分の使っていた彫刻刀から他人の彫刻刀に変えて彫ると、違和感が生じるはずです。
違和感がある中で彫るということは、ぎこちない彫り方になるということです。
そうなると、彫刻刀をうまくコントロールできず、ケガのリスクを高めます。
最初から最後まで、自分の彫刻刀を使い続けることをおすすめします。
④ 授業進行上の注意点
- おしゃべりせず、集中して作品を作る
- 疲れてきたら、彫刻刀を箱にしまって一休みする
- 最後の片づけをしっかりする
おしゃべりをせず、集中して作品を作る
刃物を扱っているので、必要最低限の会話にとどめることを推奨します。
子どもの集中力は目覚ましいものがあります。
なので、できるだけ集中できるような環境を整えてあげると良いでしょう。
疲れてきたら、彫刻刀を箱にしまって一休みする
時間がたつにつれ、子どもたちの集中力が切れてきます。
そうすると、おしゃべりを始めたり、歩き回る子が出てくるかもしれません。
集中力が切れてしまうのは、仕方のないことです。
したがって、集中力が切れ始め、教室内がざわついてきたら、いったん手を止めさせることをおすすめします。
そのときに、彫刻刀はいったん箱にしまわせて一休みさせると良いでしょう。
一休みしている間に、彫刻刀の正しい持ち方や使い方を再確認したり、上手に彫れている子を紹介すると良いかもしれませんね。
最後の片づけをしっかりする
作業が終わったら、彫刻刀を箱の中にしまいます。
その際、刃のしまう向きを間違えたり、ふたが閉まっていないことのないように注意しましょう。
彫刻刀の授業は、木くずがたくさん出ます。
ほうき、ちり取り、ゴミ箱を用意して、机の上や床に落ちた木くずをしっかり掃除します。
次に使う子が気持ちよく授業に臨めるように、意識付けしてあげると良いかもしれません。
また、割れ窓理論にもあるように、ひとつ残らず木くずを掃除することで、教室を常にきれいに保つことができます。
彫刻刀で怪我をしないための環境づくりを
怪我を未然に防ぐには、彫刻刀を扱う上での注意点を守り、ケガをしないための授業環境を整えることが大切です。
特に注意が必要なのは、「子供が正しく彫刻刀を使えているか」です。
作業に夢中になると、どうしても彫刻刀の持ち方が乱れたり、彫り方が雑になってきます。
なので、授業中、常に子どもを観察し、怪我をしないように気を配っていくと良いでしょう。
義春刃物では、彫刻刀に関する様々な情報を提供しています。