どうも、こんにちは。
職人のたまご、奥村です。
とりあえず、だれかに聞いてほしいこと。
それは…。
よしはる彫刻刀の切出し刀(印刀)の仕上げ作業で、ようやくノルマを達成したことです!
(写真:よしはる彫刻刀の印刀)
ノルマをこなせるようになるまで、1年かかりました。
我ながら、よく頑張った。
ここまでの道のりは、決して平たんではありませんでした。
よしはる彫刻刀はサンドペーパーで刃の表面を磨いた後、バフで切れ味をつけます。
(図:よしはる彫刻刀の作業工程)
サンドペーパーで刃の表面を磨くのが、ものすごく苦労しました。
ペーパーに刃を当てる時間は、わずか1秒ほど。
短い時間で、刃を正確にペーパーに当てなければいけません。
当てるときの角度や力加減が、非常に難しいのです。
(写真:サンドペーパーに刃先を当てる様子)
刃の形が1本1本ごくわずかに違うため、その都度、その刃に合わせて角度よく当てなければなりません。
当てた瞬間にここだ!というスポットを見つけることが大事なのです。
今までは、なかなかスポットを見つけることができませんでした。
なので一発で決まらず、何回も当て直すことが多々ありました。
何万本も練習をして、感覚を磨いていきました。
そのうちに、どのように当てればよいかが、だんだんと感覚的にわかってきたのです。
反復練習って大事だなと実感しました。
まるで野球の千本ノックを受けているようでした。
当てる感覚は身についたので、次は「いかに早く数をこなすか」が問題となりました。
早くこなすポイントは、2つ。
ひとつは、ミスをしないこと。
ペーパーに1回当ててキレイにできなければ、もう一度当て直さなければなりません。
そうすると、1回分余計に作業をすることになり、時間的にロスになります。
ミスを重ねれば重ねるほど、時間がかさんでいく…。
なので、なるべくミスをせず、1回で完璧に当てることが重要なのです。
ふたつ目は、早くやろうという意識を持つこと。
今までは、当てる感覚を身につけるために、いろいろ考えながらやっていました。
感覚がわかってこれば、スピードは自然と上がってきます。
しかし、そこそこ早くなる程度。
ノルマをこなすには、そこそこでは遅いのです。
テキパキと流れるような早いスピードを、手に入れなければなりません。
どうしたら早くなるか。
1つの方法は、自分の体内時計を壊すこと。
ぞくにいうクロックサイクルというやつです。
意識的に、意図的にスピードを早めることによって、今までの自分の「慣れ」を崩す。
そして、スピードの早いリズムを体に植え付ける。
そうすることで、スピードは早まるだろうと考えました。
このように。
ミスをしない、スピードを早めるという2つの意識を持ちながら反復しました。
結果、徐々にスピードが高まり、最終的にノルマをこなせるようになったのです。
ただし、ノルマを達成するまで、1年を要した事実。
この1年は、疲労困ぱいの日々でした。
大変だったんですよ、もう。
技術を身につけるのに必死だった1年のような気がします。
職人の技は、長い歳月をかけて身につくものなのだなぁと肌で実感しました。
とにかくノルマをこなせるようになったので、一人前に少しだけ近づいたかな?
と、思いきや。
今回は、よしはる彫刻刀の印刀ができるようになっただけの話。
なんせ彫刻刀は印刀だけでなく、平刀や丸刀などいろいろな形があります。
そのすべてができるようにならなければ、一人前の職人とは言えないですよね。
一難去ってまた一難。
はい。
次、がんばります。
ほじゃ、今回はこのへんで。