どうも、こんにちは。
職人のたまご、奥村です。
もう3月ですね。
気候も穏やかになり、だいぶ過ごしやすくなってきました。
とはいえ、いよいよ本格的な花粉シーズン到来。
花粉にやられて頭がポーっとしないように、気をつけないといけませんね!
さて、前回の職人のたまご日記はバフについてお話ししました。
今回も続けます。
彫刻刀に切れ味をつける工程である、仕上げ作業。
この作業に必要な道具の一つに、バフがあります。
このバフは、硬い布でできています。
(写真:仕上げ作業で使うバフ)
仕上げ作業は、高速回転してるバフに彫刻刀の刃先を当てます。
そうすることで刃先が磨かれ、切れ味が生まれます。
(写真:バフに彫刻刀の刃を当てると切れ味が生まれる)
バフは使い続けると、形や質が変わってしまいます。
一日に何千本という彫刻刀の刃をバフに当てるので、摩擦でバフが削れてしまうのです。
削れるということは、バフがどんどん小さくなっていくということですね。
(写真:右は使って間もないバフ、左は使い続けたバフ)
バフは小さくなると、高速回転の際に生じる遠心力が弱まってしまいます。
遠心力は、彫刻刀の刃を磨くための力。
職人はこのバフの遠心力に気をつけながら、彫刻刀の刃を当てていきます。
しかし強く当てすぎると、刃先が磨かれすぎて切れ味がなくなってしまう。
逆に弱く当てすぎると、刃先のゴミを取り除くことができず、切れ味が鈍くなる。
なので職人はバフの大きさによって、彫刻刀の刃をバフに当てる力を調節しなければなりません。
僕はまだ、遠心力に対するさじ加減がよくわかりません。
なので磨きすぎたり、磨きが足りなかったりしてしまいます。
これからたくさん経験を積んで、感覚を身につけていくしかないですね。
もう一つ、バフは使い続けると質が変わります。
具体的には硬くなるということ。
使えば使うほど、バフは硬くなり、滑りやすくなります。
この状態で彫刻刀の刃をバフに当てると、刃先がすり減ってしまったり、丸まってしまいます。
もちろん切れ味は生まれないので、これではいけません。
職人は、切れ味を鋭くするのに最適なバフの柔らかさを常にキープしています。
キープする方法はいろいろありますが、熟練職人ほど、バフの柔らかさを保つのが上手です。
対して僕は、すぐにバフを硬くしてしまいます。
なので今、先輩職人に教わりながら、バフを最適な状態にキープするために修行中。
まだまだ理想のバフにはなっていませんが、最高の切れ味を生み出すバフにしてみせます!
バフは生き物。
使い続けると形や質が変わる曲者です。
そんなバフを上手に扱うことも、職人の腕ではないでしょうか。
道具を巧みに扱う職人って、やっぱりカッコいいと思います。
僕は今、道具にもてあそばれている状態。
はやく、巧みに扱えるようになりたいです!
ほじゃ、今回はこのへんで。