こんにちは。
職人のたまご、奥村です。
職人1年目のときからずっと苦戦してきたことがあります。
それが、これ。
(写真:切れ味を付ける道具、バフ)
ずばり、バフの扱い方です。
「バフを制する職人は、切れ味を制す」
そう言っても過言ではないくらい重要な職人道具です。
僕は5年たってようやく、バフの取り扱いがわかってきました。
もくじ
バフの使い道
(写真:刃先をバフに当てることで切れ味が付く)
彫刻刀の切れ味は、刃先のバリを取り除くことで生み出されます。
高速回転するバフに刃先を当てることで、摩擦によりバリがとれます。
バフの何が難しい?
(写真:バフは使えば使うほど表面が硬くなっていく)
バフは生き物です。
使っていくたびに表面が削れ、固まり、変形します。
そこで職人は、頃合いを見計らってバフを手入れします。
(手入れの仕方は、技術が含まれるので内緒です)
一番難しいのは、切れ味がしっかりつくようなバフの状態にすること。
硬すぎてもダメ。
柔らかすぎてもダメ。
ちょうどよい硬さをずっと保ち続けることがとても大変なのです。
バフの硬さと切れ味の関係
(写真:右側は硬くなった状態、左側は手入れをしてほど良い状態)
なぜ、バフが硬すぎると良くないのか。
それは、刃先が磨かれすぎてしまうからです。
必要以上に磨いてしまうと、刃先が丸まってしまい、切れ味がなくなってしまいます。
逆に、柔らかすぎてもよくありません。
摩擦の力が弱まり、刃先をしっかり磨けなくなるからです。
磨けないということは、バリが残ってしまう可能性があり、切れ味が鈍くなってしまいます。
ちょうどよい硬さにするのは、本当に大変。
この技術を身につけるだけでも数年かかるのではないかと思います。
バフの扱いがうまくなった!?
(写真:バフをしっかり手入れした状態)
彫刻刀職人になって5年がたち、ようやくバフの手入れの仕方がわかってきました。
特に、「どの程度の柔らかさが切れ味を鋭くするのか」が、体で理解できてきた感じがします。
ここまでできるようになるまで、めちゃくちゃ長かったです。
やはり、職人の技術を身につけるのは、一筋縄ではいきませんね。
理想のバフ像とは
(写真:彫刻刀の刃の形に対応したバフを作らなければならない)
とはいうものの、理想のバフにはまだまだ出会えていません。
手入れをした直後に「これは美しい」と思えるバフにできるように、これからも試行錯誤していきます。
最後までお読みいただきありがとうございました。