なぜ人から借りた道具は使いづらいのか?

こんにちは。

職人のたまご、奥村です。

 

 

今回は、「道具を我がものとする」というお話をします。

「職人たるもの、道具をうまく扱えるように」という自戒の意味を込めて。

 

やっとこが手になじんでいるか?

(写真:やっとこ(ペンチじゃありません))

 

今、僕が作業している場所は、入社以来、ずっと変わっていません。

道具も基本的には大きく変わらず、同じものを使っています。

 

ある日のこと。

いつも使っている「やっとこ」を、違うものにとりかえて作業しました。

そのとき強烈に思ったのが、「うわっ。なにこれ使いづらい…」でした。

 

(写真:やっとこを持つと違和感がある)

 

いつも使っていた「やっとこ」と比べると、重たいし、握りにくいし。

作業していても動作がぎこちなくなってしまい、全然気持ちよくありません。

 

 

そういえば、過去に似たような経験をしてきた記憶があります。

例えば、スポーツの道具。

テニスのラケットや、野球のグローブなどを友達に借りて使うとき、ものすごく違和感がありました。

使いづらくて、いつもの調子で動くことができませんでした。

 

でも、それは借りた最初だけ。

使っているうちに、だんだんと手になじんできます。

感覚でいえば、すっぽりとハマった感覚。

しっくりくる感じです。

時間がたつにつれ、いつものように体を動かすことができるようになりました。

 

(写真:やっとこで彫刻刀の刃を挟む)

 

「やっとこ」も同じです。

最初は、ぎこちなかった。

それが、だんだんと手になじんでくる。

そして、時間がたてば、何事もなくいつもと同じように作業できるようになります。

 

 

さて、ここから垣間見える「原理原則」は何だろう。

最初は使いづらかった「やっとこ」が、だんだんと手になじんでいく様相を考えてみると…。

 

原理原則
やっとこは使いこむことで、自分の手の感覚と同化させることができる。

 

と言えるのではないでしょうか。

簡単に言えば、「いっぱい使えば、自分の手足のように、うまく扱えるようになる」ということですね。

 

 

「そんなの、当たり前じゃん」と思うかもしれません。

でも、その「当たり前」をひも解いていくと、何にでも応用可能な原理原則を見出すことができると思うのです。

 

(写真:彫刻刀職人の道具、バフ)

 

彫刻刀職人の道具はたくさんあります。

  • やっとこ
  • バフ
  • 研磨剤etc.

 

さらに、自分の作業している周りの空間も大事です。

  • 座っているイスの高さ
  • 自分の体とバフとの距離感etc.

 

こうして考えてみると、多くの物が、自分の感覚に影響を及ぼしています。

 

「なんだか、いつもと感覚が違うぞ」と思ったら、自分の身の回りの道具に不具合があるかもしれませんね。

そして、その不具合を起こしたのは自分だと戒め、スムーズな作業のために、もっと道具に気を配っていく必要があると思う次第。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。