今回は、教師の皆様のご質問にお答えします。
はじめまして、義春刃物株式会社と申します。
義春刃物は、刃物の町として知られる岐阜県関市で彫刻刀を製造しています。
もくじ
小学生の彫刻刀の選び方 Q&Aまとめ
彫刻刀の刃の種類はどんなものがあるの?
平刀
木版の面を彫る際に使います。
表面をぼかしたり、余分な部分をすき取るときに使います。
印刀
はっきりとした輪郭や鋭い線を彫るのに使います。
余分な部分をすき取ることもできます。
左利き用もあります。
三角刀
V字型の細い線を彫るときや、せまい部分をすき取るときに使います。
直線や曲線、点などを表すのに適しています。
中丸刀
太い線を彫るときや、いらない部分をすき取るときに使います。
広い面を彫ることができるのが特徴です。
小丸刀
丸いみぞの細い線を彫るときや、細かい部分をすき取るときに使います。
基本的な彫刻刀の種類は、上記の5本です。
その他にも、大丸刀や小切出し刀など様々な刃の形があります。
彫刻刀は何本入りを買えばいいの?
版画の授業では、基本的に「平刀・印刀・三角刀・中丸刀・小丸刀」の5種類があると便利です。
細部までこだわりたいという人には、5本以上でもよいでしょう。
全鋼製、付鋼製のちがいは?
全鋼製の彫刻刀
- 一般的な鋼を使用。
- 切れ味は十分だが、やや耐久性に劣る。
- 材質が硬いため、刃を研ぐのに時間がかかる。
付鋼製(二層鋼製)の彫刻刀
- 2枚の金属が合わさっている。
- 上層には、耐久性のある「軟鉄」を使用。
- 下層には、硬く切れ味が良い「特殊鋼」を使用。
- 研ぎやすい反面、汗や水分に弱いため、使用後は乾いた布で汚れを拭き取る必要がある。
まとめると?
- 全鋼製は、コストパフォーマンスが良い。
- 付鋼製は、切れ味、耐久性ともに優れている。
左利き用の彫刻刀はあるの?
彫刻刀には、右利き用と左利き用があり、おもに印刀の向きが異なります。
「平刀・三角刀・中丸刀・小丸刀」は、右利き・左利きで変わりありません。
利き手に合った彫刻刀を使わないと、ケガのリスクが高まります。
左利きの子どもには、左利き用の彫刻刀を使用させましょう。
関連記事:左利きの小学生は左利き用の彫刻刀を買った方が良い?
おさがりを使っても大丈夫?
切れ味があるか?
彫刻刀は、使えば使うほど切れ味が落ちていきます。
切れ味が落ちた状態で使用すると、余計な力が入りやすくなり、ケガのリスクが高まります。
おさがりを使う際には、砥石で研いでから使わせることをおすすめします。
ただ、市販の砥石は高価なため、買い替えたほうが無難かもしれません。
サビていないか?
刃の素材である鋼は、金属なのでサビます。
特に、「汚れや水分が付いているとサビやすくなる」ので注意が必要です。
サビていたら、新品を購入することをおすすめします。
学校に常備している彫刻刀を使う際の注意点は?
以下を確認してみてください。
- 切れ味が悪くないか
- サビていないか
- 刃がかけていないか
基本的に、使い古されている彫刻刀は、ケガをしてしまう可能性があることに留意しましょう。
グリップはどれを選べばいいの?
(写真:ゴム製のラバーグリップ)
彫刻刀のグリップ(持ち手)には、木製、ゴム製があります。
握りやすく、滑りにくい素材はゴム製です。
児童の力を考えた場合、ゴム製は安全に使うことができます。
(写真:木製の柄)
木製は、木ならではの手触りのよさを感じられる材質です。
義春刃物で取り扱う製品で木製は、「よしはる三友彫刻刀」、「マルイチ彫刻刀」、「よしはる彫刻刀」があります。
滑り止めシートは必要?
滑り止めシート(ノンスリップシート)の使用をおすすめします。
- 木版がズレるのを防ぐ。
- 不意のケガを予防する。
- 彫る際に、余計な力を使わずに済む。
木版を彫ると、木くずが出ます。
その木くずが木版の下に入り込んでしまうと、彫った際に板がズルっとズレてしまいかねません。
滑り止めシートがあれば、不意に木版がズレるリスクが下がります。
また、彫っているときに木版が動いてしまうと、余計な力を使ってしまいます。
力を加えすぎることで、勢い余って手を切ってしまう可能性もあるので気を付けましょう。
よしはる彫刻刀GXとマルイチ彫刻刀SXには、滑り止めシートが付属しています。
ケガを防ぐために大切なポイントは?
「切れ味があるかどうか」が大切です。
切れ味が悪いと、うまく彫ることができません。
児童は上手く彫れないと、力を使って彫ろうとします。
そうすると、彫刻刀の安全な持ち方ができなくなります。
また、力みすぎて、勢い余ってケガをするリスクがあります。
彫刻刀によって刃の形やサイズは違うの?
刃の形状は、彫刻刀の種類によって若干異なります。
例えば、平刀の場合、角がとがったものや、下の写真のように丸みを帯びたものがあります。
刃の形は異なりますが、用途は基本的に同じです。
彫刻刀のサイズ(長さ)は、種類によって異なります。
マルイチ彫刻刀は、サイズが小さく、軽いのが特徴です。
よしはる彫刻刀は、マルイチ彫刻刀よりも長く、重さもあります。
手が小さい児童は、彫刻刀のサイズが小さいほうがいいかもしれません。
どちらか決めかねるというのであれば、学校で長さの違う彫刻刀を用意し、児童に持たせてみるのもいいでしょう。
「よしはる彫刻刀」シリーズの特徴は?
よしはる彫刻刀
よしはる彫刻刀は、刃が付鋼製で切れ味がよく、耐久性もあります。
グリップは、木製のローズウッドで高級感があります。
よしはる三友彫刻刀
よしはる三友彫刻刀は、付鋼製です。
グリップは、木製で朴木(ほうのき)と呼ばれています。
朴木は、刃物の鞘や家具などにも使われています。
よしはる彫刻刀同様、切れ味がよく、耐久性が高いのが特長です。
よしはる彫刻刀GX
よしはる彫刻刀GXは、付鋼製。
グリップは、ゴム製です。
よしはる彫刻刀、よしはる三友彫刻刀と同じく、切れ味がよく、耐久力があります。
滑り止めシートが付いています。
名前 | 刃 | 柄 | 特徴 |
よしはる彫刻刀 | 付鋼 | 木製(ローズウッド) | 切れ味、耐久力に優れる。 |
よしはる三友彫刻刀 | 付鋼 | 木製(朴木) | 切れ味、耐久力に優れる。 |
よしはる彫刻刀GX | 付鋼 | ゴム製 | 切れ味、耐久力に優れる。ノンスリップシート付 |
関連記事:「よしはる彫刻刀」と「よしはる彫刻刀GX」は何が違うの?
マルイチ彫刻刀の特徴は?
マルイチ彫刻刀
マルイチ彫刻刀の刃は、切れ味十分の全鋼製。
柄は、触り心地が気持ちよい朴木(ほうのき)を使用しています。
よしはる彫刻刀と比べると、やや小ぶりで軽いのが特徴です。
手の小さなお子さんでも安心して扱えます。
マルイチ彫刻刀SX
マルイチ彫刻刀SXの刃は、全鋼製です。
柄はゴム製で、滑りにくいのが特徴です。
滑り止めシートが付いています。
関連記事:「マルイチ彫刻刀」と「マルイチ彫刻刀SX」は何が違うの?
よしはる彫刻刀とマルイチ彫刻刀はどちらがいい?
- 切れ味で選ぶなら、「よしはる彫刻刀」
- 価格で選ぶなら、「マルイチ彫刻刀」
切れ味をより求めるなら、付鋼製である「よしはる彫刻刀」がおすすめです。
ただ、全鋼製のマルイチ彫刻刀の切れ味が悪いというわけではありません。
義春刃物が製造する彫刻刀は、熟練職人が1本1本手作業で切れ味をつけています。
したがって、付鋼製はもちろん、全鋼製も切れ味抜群です。
価格は、マルイチ彫刻刀の方が安価です。
普通に使う分には切れ味も十分にあるので、コストパフォーマンスが良いといえます。
関連記事:よしはる彫刻刀GXとマルイチ彫刻刀SXの違いを徹底解説
ケースを選ぶ際のポイントは?
「よしはる彫刻刀GX」と「マルイチ彫刻刀SX」のケースは、機能性に優れています。
プラスチック製のケースには、ロック機能が付いています。
なので、カバンの中でバラバラになる心配はありません。
スタンド機能もついており、作業中に彫刻刀が取り出しやすくなっています。
ケースは様々なデザインがありますが、機能性で選ぶのであれば、よしはる彫刻刀GXとマルイチ彫刻刀SXはおすすめです。
使いやすい彫刻刀とは?
- 切れ味が十分にある。
- 自分の手の大きさに合っている。
- 刃の種類が豊富。
切れ味が十分にある
彫刻刀は、そこまで大きな力を加えなくても、木版を彫ることができます。
しかし、刃の切れ味が悪いと、余計な力が入ってしまいます。
ふとした拍子に、木版から彫刻刀が滑ってしまいかねません。
子どもは、力を入れることに夢中になると、木版を支えているほうの手を、刃の前に置いてしまう可能性があります。
したがって、ケガなく安全に使用するには、「切れ味が十分にあること」。
これが、使いやすい彫刻刀の最も大事なポイントと言えるでしょう。
自分の手の大きさに合っている
彫刻刀は、種類によってグリップ(持ち手)の長さが違います。
手の小さな児童は、グリップが長いと使いづらいかもしれません。
できれば、学校でいくつか彫刻刀のサンプルを用意しておくと良いでしょう。
購入する前に持ちやすさを確認することで、ケガのリスクを小さくできる可能性があります。
また、よしはる彫刻刀GXとマルイチ彫刻刀SXは、ゴム製のグリップで滑りにくく、扱いやすいのが特徴です。
刃の種類が豊富
彫刻刀には、「平刀、印刀、三角刀、中丸刀、小丸刀」など、様々な刃の形があります。
- 輪郭は、印刀や三角刀で彫る。
- 丸いみぞは、小丸刀で彫る。
- 余計な部分をすき取るために、平刀を使う。
上記のように、彫刻刀の刃には、それぞれ役割があります。
木版を自由に彫るためには、できるだけ刃の種類を増やすことをおすすめします。
最低でも、「平刀、印刀、三角刀、中丸刀、小丸刀」の5種類は欲しいところですね。
刃の種類ごとの使い方やコツは「彫刻刀の使い方 完全ガイド」をご覧ください。
彫刻刀の選び方を大まかにまとめると?
- 刃の種類の本数は十分か
- 利き手(特に左利き)に合っているか
- 切れ味が良いか
- 手の大きさに合っているか
- 付属品が付いているかなど
その他にも、価格や素材で決めることもできます。
一番大事なポイントは、「児童にとって扱いやすい彫刻刀とは何なのか」を明らかにすることです。
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彫刻刀は、「図工の授業で使って終わり」という人が多いのが現状です。
だからこそ、「質が良く、自分に合った彫刻刀」で目いっぱい木を彫ってほしいと考えます。
今後とも、職人一同、彫刻刀1本1本に魂を込めて切れ味を付けていく所存です。
本記事では、その一助となるべく、様々な視点から彫刻刀をご紹介しました。
この記事が、児童の彫刻刀選びに参考になれば幸いです。
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