今回は、工程⑤刃付けについて解説します。
彫刻刀の製造工程の大まかな流れは、以下の通りになります。
(図:彫刻刀の製造工程)
工程③の「焼き入れ」から戻ってきたら、次はいよいよ刃を付けます。
(平ものの刃は刃付けの前に裏押しを行います。)
現在では、刃付け専用の機械を使って刃を量産しています。
しかし、昔は1本1本を手研ぎで刃を付けていました。
今回は、昔ながらの刃の付け方をご紹介します。
工程⑤ 刃付け
(写真:手作業で刃を付ける様子)
高速回転している砥石に、彫刻刀の刃を当てます。
正確に砥石に刃部分を当てないと、ゆがんだ刃が出来上がってしまいます。
そうならないために、職人は当てる瞬間、角度や力加減に細心の注意を払います。
(写真:刃を砥石に当てると火花と水しぶきが出る)
刃部分が砥石に当たったとき、火花が出ます。
その際、摩擦により刃部分が焦げてしまいます。
そうならないように、水で冷却しながら刃部分を砥石に押し付けていきます。
(写真:刃付けは繊細な力加減や角度調整が必要とされる)
こうして彫刻刀の刃部分ができあがりました。
しかしこの時点では、刃の裏側に「バリ」が付いており、まだ切ることができない状態です。
次工程である仕上げ作業で、切れ味をつけていきます。