【職たま日記】彫刻刀のスイートスポットを探せ。

どうも、こんにちは。

 

 

職人のたまご、奥村です。

 

もうすっかり、春らしい陽気になりましたね。

少しずつ、汗ばむことも増えてきました。

 

今日も仕事で、しっかり汗を流したいと思います!

 

 

 

 

スイートスポットとは。

「野球のバットやテニスのラケットで、ボールを打つのに最も最適な箇所のこと」

 

つまり、真芯にボールが当たることで。

遠くへ飛んだり、打球が速くなります。

 

スイートスポットに当たった時の体の感覚は。

「気持ちがいい」、これに尽きます。

 

余計な力を加えなくても。

何かにスッポリはまったような感覚。

 

じつはこの「気持ちがいい」感覚。

彫刻刀の仕上げにも当てはまるんじゃないかと思います。

 

例えば、バフでの仕上げ作業

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(写真:バフに当てる時の、スイートスポットを探す)

 

彫刻刀をバフに当てた瞬間に、キレイに磨けるかがなんとなくわかる。

さらに、気持ちよくバフに当てられたと感じたときは、切れ味が鋭い気がする。

 

 

 

例えば、サンドペーパーで彫刻刀の刃の表面を整える作業

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(写真:ペーパーに当てる時の、スイートスポットを探す)

 

刃を当てる瞬間に、スッポリはまる角度がある。

その角度に当てることができれば、一発で刃の表面を整えることができる。

 

 

このように。

バフやサンドペーパーに彫刻刀を当てる角度がピタッとはまると。

気持ちがいいという感覚を得られます。

その瞬間の気持ちよさが、上手に仕上げられることにつながるのではないでしょうか。

 

 

 

さらに、当てた時のスッポリはまった感覚は。

上手にできたかどうかの指標にもなります。

 

スッポリはまらないのは、何か原因がある

例えば、彫刻刀を当てる角度が悪いなど。

 

力加減も大切。

余計な力が入ってしまうと、たいてい失敗します。

力みは、感覚を鈍らせてしまうからではないでしょうか。

 

 

 

余談ですが、僕は学生時代、陸上部(短距離選手)でした。

走るという動作にも、スイートスポットが存在することをふと思い出しました。

 

走っているとき、地面に片足ずつ、つきますよね。

その状態のことを、陸上の専門用語で「接地」と言います。

 

一般的に、足が地面につくことは「着地」と言いますが。

陸上の世界では「着地」ではなく、「接地」と言うのです。

 

 

 

つまり、足が地面についたら、力を込めて蹴るのではなく。

「足が地面に接した瞬間に、地面から足を離す」ような感覚で走る。

 

この接地が、走る動作のスイートスポットになります。

 

トップアスリートの中には、接地の感覚を。

「滑るように走る」とか「ボールが弾むように走る」と表現する人もいます。

 

実際、走っているときの片足が着いている時間(接地時間)は、わずか0.2秒未満なんです。

0.2秒以内に地面を蹴って大きな力を生み出すのは、人間の体の構造上、難しい話。

 

 

それよりも、足が接地した瞬間に、大きな地面反力をもらえるようにするほうが大事。

走る動作のスイートスポットとは、大きな地面反力をいかに体が受け取れるかどうかがポイントとなります。

 

 

話がそれてしまいましたが、僕は彫刻刀を仕上げながら。

「あぁ、走るのと一緒の感覚だなぁ」としみじみ感じていました。

 

彫刻刀の仕上げにもスイートスポットが存在する。

スイートスポットに当たれば、キレイに仕上がる。

 

常にスイートスポットに当たるように。

これから修業していきます!

 

 

ほじゃ、今回はこのへんで。